Fermata in Blue:Yuka Murayama
一時期、本の価値を、その書籍の厚さにしか見出せない事があった。
村山由佳、彼女もそんな時に出合った作家さんの一人です。(その頃は図書館から京極堂のノベルスを貸し出し限度の3冊借りて、嬉々として持ち帰っていたのですから。。どこにそんな体力があったんだか。)ちなみに厚さに惹かれた本は「
翼―cry for the moon」。この本で初めて「Cry for the moon」という成句の意味を知って、その意味の絶妙さに舌を巻いた、忘れられない書名の一つでもあります。
さて。そんな出会いをした彼女の本を読みました。・・・読み続けているのは別に厚いからが理由ではなく、その時読んだ一冊にぴーんと来ちゃったからなのですが。
先日の積読の一冊、「
青のフェルマータ」・・・青いフェルマータなんて見たことないや、と思いながら。楽譜は黒インキで書かれているので、手に取った時に何故かそんな事を考えてしまってました(笑)。
読み終えたら、久々に海に行きたくなりました。
名前に「海」を意味する漢字を入れてもらって、泳げる場所から徒歩5分の所に住んでいて、それなのに何故か満足に泳げない私なのですが、海を眺めるのは大好きです。一時期友人たちと海ばかり行っていました。別の場所で遊んでいても、必ず締めは海。冬だろうが、暗くなっていようが。その海にはイルカもいないし、珊瑚礁はもちろんないし、その前にチェロなんて弾けないし。
ピアノをやっていた当時はフェルマータを満足に伸ばすことが出来なくて、よく先生に注意された事もあったっけ。大体楽譜の音符には決められた長さがあるのに、何故それを2倍にも3倍にも伸ばさなければならないのか、それなら最初から楽譜にその長さ分書いておいて欲しい。そうも思ったものです。(ひねくれてるから)
それでも彼女の見た海とどこかで繋がっているのだから、と思うと、少し海の「癒し」を信じたくなった。そんな読後観でした。
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